真・富岡光学の傑作レンズ
レンズシャッターカメラが流行した1950-1960年頃いくつかの大口径レンズが登場した。
理研光学(現リコー)からもいくつかの機種が発売されている。理研光学は二眼レフ リコーフレックスが大ヒットしたがブームが過ぎ去り、35mmカメラへシフトしていく時代だった。
リコーフレックスのレンズは、90%富岡光学製だった。残りの10%は藤田光学製でこのメーカーのものは性能も劣っていたので、運悪くこれを買った人はあまり良い写真にならかったかも知れない。
理研光学が富岡光学からのレンズ供給されていたのは、リコーフレックスからでその後の35mm用に3枚玉の45mm f3.5→5枚玉の45mm f2.8→6枚構成の45mm f1.9と発展してきた。
その後、4枚構成の45mmf2.8が新たに供給されたがこれは5枚玉の45mm f2.8より性能は劣っていた。コストダウンがマイナス面になったと考えられる。
この時代の頂点は、5枚玉の45mm f2.8と6枚構成の45mm f1.9であったが理研光学のレンズシャッターカメラがそれほど評価されず終わってしまったため、歴史の中に埋もれてしまっている。
これらのレンズを詳しく見ていこう。
5枚玉の45mm f2.8はRICOMATというレンズ名でリコー35に装着され1955-1959頃に発売されている。3群5枚という珍しい構成で前玉が3枚の貼り合わせとなっている。
(構成図参照) このレンズ5枚玉で性能を高めたが、3群の非対称構成のためボケが綺麗で無い。
但しシャープネスは、優れていた。
続いて6枚構成の45mm f1.9は、RIKENONと名前が変わりリコー519デラックスに装着された。ジェット、519Mにも装着されている。1958-1962年頃
対称型のこのレンズは、量産を前提に設計され肉薄レンズを避けて作られた。
性能は素晴らしかったが昔は富岡光学のレンズと言えども埋もれてしまったため、非常に惜しむレンズだったと思う。
理研光学はその後の1963年よりレンズを内製に切り替えたため、富岡光学も他メーカーへ供給する事となった。
作例 α7RⅢ+4.5cm f1.9
周辺光量落ちは多少見られるが、変なクセも無く思っていたよりよく写ります。
逆光ではゴーストも出ますが何とか持ちこたえてる感じがします。
遠景の景色だとこんな感じです。絞りはf2.8程度それでこの写り。f8以上に絞ったらどんな感じになるのか楽しみです。
現在、これら理研光学のカメラを入手する場合、オークションなどでたまに出品されているが、一般的な状態で1000円程度で入手可能だ。
但し、60年ぐらい経過しているので不具合もあるし、ほとんどがジャンク品となっており今となってはどの様な写りなのか確認しにくい。
ここにあるのはジャンクボデイよりレンズのみ取り出したもので、ミラーレスにて装着出来る様にした。1950~1960年頃は、露出計がまだ未搭載のため、レンズを外すのは簡単である。
続く